GSM(閉経関連性器泌尿器症候群)に関する研究

 

研究実施計画書

1.研究の名称: 閉経関連性器泌尿器症候群genitourinary syndrome of menopause (GSM)の後ろ向き研究

 

2.研究の実施体制

・研究機関の名称:よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック

・研究責任者氏名:奥井伸雄

・研究分担者氏名:奥井真知子

 

3.研究の目的及び意義

(1)目的:4.研究等の概要(300字以内)

 

閉経関連性器泌尿器症候群genitourinary syndrome of menopause (GSM)は、閉経期の患者に発生する大陰唇/小陰唇、陰核、前庭/内臓、膣、尿道、膀胱の低エストロゲン性変化によって引き起こされる症状と徴候の集まりとして定義されます。GSMという用語は、2014年に国際女性の性的健康研究協会と北米更年期障害協会によって導入され、膣萎縮という用語に取って代わりました。症候群には、乾燥、灼熱感、および性器の刺激症状が含まれますが、これらに限定されません。潤滑不足、不快感や痛み、機能障害などの性的症状; 緊急性、排尿障害、および再発性尿路感染症の尿路症状もあります。患者は、兆候や症状の一部またはすべてを呈する可能性があります。多くの患者で長期治療を必要とします。治療の選択肢には、ホルモン療法と非ホルモン療法の両方が含まれます。ホルモン療法の代表は、エストロゲンの補充です。膣内エストロゲンと全身性テストステロンの2つの方法がありますが、どちらも、長期間の使用を避ける女性や、乳がんサバイバーのように使用できない女性もいます。一方で、非ホルモン療法には、ライフスタイルの変更や食生活、運動などがあげられますが、ホルモン治療の代替治療とは言えません。近年、GSMには2つの治療法が注目されています。一つは、漢方です。GSMの主症状の一つが、冷えであることから、冷えに対する漢方の効果が期待できます。多くの臨床医は、人参養栄湯や補中益気湯を用います。もう一つは、レーザー治療です。現在日本では、ErYAGレーザーとNdYAGレーザー(フォトナ社)やCO2レーザー(デカ社)がおもに使われています。GSMの患者の膣や外陰部にレーザー照射することで血流を改善させる温熱療法の一つで、これも冷えに対する治療と考えることができます。そこで、過去にGSMとして治療された非ホルモン療法の患者数およびその特徴について研究をします。ホルモン治療の代替治療と考えることができるレベルかを、後ろ向き試験にて検討します。

 

 

(2)意義:本研究により、GSMに対する有効な治療法を知ることができます

 

4.研究の方法及び期間

(1)方法:(予備試験、トレーニング期間、事前アンケート、解析方法 等)

倫理委員会承認後、クリニックホームページならびに協力依頼(オプト・アウト)に関する掲示を行う。

オプト・アウトの申し出がない患者を対象に、まず、以下の検討を行う。オプト・アウトの申し出があった場合は、その時点で対象から削除する。

ⅰ)GSMの評価

GSMは、一般に0から10までの11段階に痛みの程度を問診することを基本とする(VASスケール)。カルテに記載された痛みの程度の結果を抽出する。は、3か月おきに1回の受診にて実施している。

ⅱ)随伴症状の評価

上記の症状の他に、過活動膀胱があるものは過活動膀胱質問票、腹圧性尿失禁があるものは1時間パッドテストもしくは国際尿失禁スコアによる評価がされている。(OABSS)は4つの項目(頻尿・夜間頻尿・尿意切迫感・切迫性尿失禁)で評価するアンケートである。1時間パッドテストとは、500mlの水を飲んだのちに、1時間の間に普通の生活での身体活動をして、その後尿取りパッドの中に残っている尿失禁量を計測するものである。ICIQ-SFとは、4つの項目からなる尿失禁のアンケートである。なおではVASスケール以外は、1時間パッドテスト・OABSS・ICIQ-SFは補足的評価であり、GSM全症例に評価があるわけではない。

ⅱi)基本的な情報

年齢、身長、体重、結婚、妊娠回数、経腟分娩回数、閉経時期、学歴(中学・高校・大学以上)、喫煙習慣、飲酒習慣、運動量、肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症、精神病、乳がん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣のう胞、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎、膀細結石、菌性膣炎、真菌性膣炎。

 

 

 

①研究のデザイン

観察研究 ⇒ 分析的研究

(横断研究、生態学的研究、症例対照研究、コホート研究)

□記述的研究 (ケースシリーズ研究、症例報告)

 

□介入研究 ⇒ □前後比較研究

□クロスオーバー試験

□比較臨床試験(準ランダム化比較試験)

□ランダム比較試験

②予定研究対象者数:   約1000名   

③設定根拠: 必要症例数は過去のGSM論文が30症例前後である、10症例~30症例を設定される(効果量大、有意水準0.05。検出力95%で算出)。しかし、よこすか女性泌尿器科においては、多数の症例があるためできるだけのデータをあつめる

④統計解析の方法:分析にMannWhitney U testとカイ二乗検定を用いる。

⑤□未承認医薬品・医療機器を用いる ⇒試験薬概要、試験機器概要を提出

□既承認医薬品・医療機器を用いる ⇒当該医薬品・医療機器の添付文書情報を含む

(2)研究期間:研究倫理審査委員会承認日~(西暦) 2023年3月31日

 

5.研究対象者の選定方針

(1)収集期間:2015年4月1日から2022年9月30日の間にGSMとして治療を施行した患者

(2)収集方法:過去GSMとして診療を行った患者を新しい順から連続抽出

(3)研究対象者:GSM

 

 

 

6.研究の科学的合理性の根拠

本研究デザインはGSMに対するあたらしい治療をさがすことであり、以下の論文などが参考になる

Climacteric Volume 25, 2022 – Issue 2  Short-term effects of an erbium/neodymium laser combination in superficial dyspareunia: a pilot study

  1. Gambacciania and T. Fidecicchib

 

7.インフォームド・コンセントを受ける手続き等(指針第5章第12に従うこと)

(1)□ インフォームド・コンセントを行う

インフォームド・コンセントを行わない

(2)□新たに試料・情報を取得して研究を実施

□侵襲を伴う研究

侵襲を伴わない研究:(介入を行う研究 ・ 介入を行わない研究)

□人体取得の試料を用いる

□人体取得の試料を用いない:(アンケート ・インタービュー ・観察等)

□要配慮個人情報 (含む ・ 含まない)

自らの研究機関において保有している既存試料・情報を用いて研究

他の研究機関に既存資料・情報を提供しようとする場合

(倫理指針ガイドラインに従い、記録を作成する)

上記の手続きに基づく既存試料・情報の提供を受けて研究を実施しようとする場合

(倫理指針ガイドラインに従い、記録を作成する)

 

8.個人情報等の取扱い

症例に必要な個人情報は年齢、性別、既往歴、現病歴であり、必要情報を抽出した症例は直ちにカルテ番号、患者氏名を削除し、尿失禁評価・性機能評価および手術あり/なしとの対応表を作成する。手術記録のみから患者の特定は困難である。データはすべて鍵がかかるハードディスクに保管する。ウイルス感染にも最新の専用ソフトで細心の注意を払うこととする。

患者情報の管理は研究代表者(奥井)が行うこととし、PCやハードディスクが置かれている部屋は常に施錠し、盗難にも気を付ける。

匿名化 (対応表: 有 ・ 無 )

□匿名加工情報 (方法:             

□非識別加工情報(方法:             

□共同研究機関:共同利用する個人情報の項目

 

9.研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益、これらの総合的評価並びに当該負担及びリスクを最小化する対策、安全への配慮

(1)負担:診断や治療上、必要となった過去の診療データのみを使用するため研究にかかる負担はない。

(2)リスク:患者の健康に影響を及ぼすようなリスクは発生しないが、患者データを用いるため、個人情報の漏洩の可能性がある。

(3)利 益:日本ではGSMに対する手術後の性機能の実態調査がまったくないため、治療法の確立にも貢献できる可能性がある。

(4)総合的評価:研究対象者に研究のために発生する負担やリスクはほとんどなく、医療の進歩に寄与できる研究であると考えられる。

(5)当該負担及びリスクを最小化する対策:個人情報の扱いに注意を払う。

 

10.試料・情報(研究に用いられる情報に係る資料を含む)の保管および廃棄の方法

□新たに試料を取得 / 過去の試料を使用

(1)試料の種類:抜去歯、血液、組織、細胞、X線、CT、カルテ、アンケート、他(   )

(2)保管方法: 鍵でロックされた外付けのハードディスクに保存する。ハードディスクは施錠できる部屋に保管し、基本的にインターネット接続がない状態で使用する。ウイルス感染による漏洩が生じないよう、最新のウイルス感染対策ソフトで毎日、チェックを実施する。

(3)保管期間:

論文等の発表から5年間

□研究全体の終了日から5年を経過した日又は該当研究結果の最終の公表について報告され

た日から5年を経過した日のいずれか遅い日までの期間

※介入研究・侵襲有(軽微な侵襲を除く)の場合

□その他(具体的に:                  )

(4)廃棄方法: PC上でウイルス感染対策ソフトにより復元不可能な削除を行う。

 

11.研究機関の長への報告内容及び方法

研究倫理委員会が定める様式7により、年度末に研究の進捗状況等を報告する。

 

12.研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反(COI)及び個人の収益等、研究者等の研究

に係る利益相反に関する状況

(1)資金源

講座(分野)研究費    科学研究費補助金

企業(企業名:  )   □産学連携資金(   )  □その他(        )

(2)利益相反(COI)

利益相反(COI)委員会申請中

利益相反(COI)委員会承認済み

該当なし

 

13.研究に関する情報公開の方法

公表する:内容 研究成果を匿名化して学会講演、学術誌、論文等で発表する。

□公表しない:理由   

本人、家族(遺族含)への開示:(原則開示 ・希望開示 ・原則開示しない)

 

14.研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応

□相談窓口を設ける:    

相談窓口を設けない: 研究責任者及び担当者が診療室あるいは電話等で随時対応する。

 

15.代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合の手続き

該当しない ⇒ 理由:代諾者を必要とする患者を含まない。   

該当する:(未成年者、家族、親族、遺族、同居者、後見人、保佐人、介護者、施設長等)

 

16.インフォームド・アセントを得る場合の手続き

該当しない

該当する(未成年者、判断できない障害者、認知症患者、他  )

 

17.研究対象者に緊急かつ明白な生命の危機が生じている状況における研究を実施する場合

倫理指針第12の6の規定に掲げる要件のすべてを満たしていることについて判断する方法

該当する   判断する方法:        

該当しない

 

18.研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合、その旨及びその内容

(1)費用負担 

有 内容:   

(2)謝    礼 

有 内容:     

 

19.侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴う研究の場合、その旨及びその内容

該当しない

該当する:内容    

 

20.侵襲を伴う研究の場合、当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容

該当しない:内容             

該当する:内容      

 

21.通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合、研究対象者への研究実施後における医療の

提供に関する対応

該当しない

該当する :対応     

 

22.研究の実施に伴い、研究対象者の健康、子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見

が得られる可能性がある場合、研究対象者に係る研究結果(偶発的所見を含む)の取扱い

該当しない

該当する: □伝えない

□本人に伝える⇒    

23.研究に関する業務の一部を委託する場合、当該業務内容及び委託先の監督方法

該当しない

該当する 内容:     

 

24.研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定さ

れない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合、その

旨と同意を受ける時点において想定される内容

該当しない

該当する 内容:GSMのアンケートによるデータは臨床研究行う可能性があるため、類似した研究にデータを利用する可能性がある点について説明する。

 

25.倫理指針第21の規定によるモニタリング及び監査を実施する場合、その実施体制及び実施手順

該当しない (現在の時点では実施しない)

該当する 内容:    

 

 

 

研究協力に関する御願い(掲示用とホームページ)

通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施します。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いる研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき「対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありません」が、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開し、さらに拒否の機会を保障することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」といいます。当院で実施している研究で、「オプトアウト」に該当するのは以下のものです。

 

研究名称: 閉経関連性器泌尿器症候群genitourinary syndrome of menopause (GSM)の後ろ向き研究  

 

閉経関連性器泌尿器症候群genitourinary syndrome of menopause (GSM)は、閉経期の患者に発生する大陰唇/小陰唇、陰核、前庭/内臓、膣、尿道、膀胱の低エストロゲン性変化によって引き起こされる症状と徴候の集まりとして定義されます。

症候群には、乾燥、灼熱感、および性器の刺激症状が含まれますが、これらに限定されません。潤滑不足、不快感や痛み、機能障害などの性的症状; 緊急性、排尿障害、および再発性尿路感染症の尿路症状もあります。患者は、兆候や症状の一部またはすべてを呈する可能性があります。多くの患者で長期治療を必要とします。治療の選択肢には、ホルモン療法と非ホルモン療法の両方が含まれます。

ホルモン療法の代表は、エストロゲンの補充です。膣内エストロゲンと全身性テストステロンの2つの方法がありますが、一方で、非ホルモン療法には、ライフスタイルの変更や食生活、運動などがあげられますが、ホルモン治療の代替治療とは言えません。

そこで、過去にGSMとして治療された非ホルモン療法の患者数およびその特徴について研究をします。ホルモン治療の代替治療と考えることができるレベルかを、後ろ向き試験にて検討します。

対象となる患者さま:2015年4月1日から2022年9月30日の間にGSMとして治療を施行した患者(新たに何かをやっていただく必要は全くありません。)

 

研究責任者: よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック 奥井伸雄 (神奈川歯科大学教授)  

連絡先: TEL 046-823-8456 e-メール:okui_nobuo@yahoo.co.jp 

研究への協力をご希望されない方あるいはご希望されない患者様のご家族の方は、お気軽に研究代表者(奥井)にお申し出ください。上記連絡先へ、お電話やメールでも結構です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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