間質性膀胱炎の膣健康状態に関する研究

研究実施計画

1.研究の名称: 間質性膀胱炎のVEL治療とその効果ついての後ろ向き研究 (Unicorn-1)  

 

2.研究の実施体制

・研究機関の名称:よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック

・研究責任者氏名:奥井伸雄

・研究分担者氏名:奥井真知子、宮内聡秀、宮崎啓成、高橋渡

 

3.研究の目的及び意義

(1)目的:間質性膀胱炎は、原因不明の膀胱痛を主症状とする疾患である。他に、膀胱容量の低下、頻尿、尿意切迫感、尿失禁などをおこす。日本では、診断と治療をかねて膀胱水圧拡張を行う。これは、麻酔下にて、膀胱内に生理食塩水を注入し、膀胱を拡張させることで、膀胱の容量を増やすことを目的とする。しかし、本質的な解決にはならない。また、膀胱内にDMSOやボツリヌス毒素を注入することで、神経を一時的に麻痺させて痛みを改善させる治療もあるが、せいぜい3か月から6か月しか保たない。また、これらの治療は、繰り返すことで、膀胱の繊維や神経が萎縮して、効果がなくなり、重症例では膀胱を摘出することになる。投薬は、痛み止めとしての非ステロイド系消炎鎮痛剤があるが、対処療法に過ぎない。また、一部の間質性膀胱炎がアレルギーから起こる場合があるために、抗アレルギー薬が効果を示すことがあるが、症例は限られる。そこで、間質性膀胱炎の治療を探すことは世界的課題である。多くの論文が後ろ向きにカルテを調査し、他の治療方法が偶然間質性膀胱炎に効果を示したものを探している。その一つが高圧酸素治療である。脳梗塞の患者を高圧酸素室に入れて一定時間治療をするものである。この治療は、偶然間質性膀胱炎を劇的に改善させた症例が報告されている。我々は、腹圧性尿失禁に用いる非蒸散性エリビウムYAGレーザー治療VELに注目している。よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニックで、腹圧性尿失禁に対してVELをおこなったところ、予想外に間質性膀胱炎に著効した例があるからである。そこで、腹圧性尿失禁に対するVELを実施する複数の施設での間質性膀胱炎の調査をする意義がある。既存の間質性膀胱炎治療の群と、VELを実施している群と比較をして、VELが間質性膀胱炎の治療として提案することができるかどうかを判断できる。本研究では、カルテを後ろ向き調査することで、間質性膀胱炎の治療とその効果を調査するものである。

 

(2)意義:本研究により、VELを間質性膀胱炎の治療として、今後前向き試験などの対象になるかどうかの資料を得ることができる。

 

4.研究の方法及び期間

(1)方法:(予備試験、トレーニング期間、事前アンケート、解析方法 等)

倫理委員会承認後、クリニックホームページ(あるいは病院ホームページ)ならびに協力依頼(オプト・アウト)に関する掲示を行う。

オプト・アウトの申し出がない患者を対象に、まず、以下の検討を行う。オプト・アウトの申し出があった場合は、その時点で対象から削除する。

ⅰ)間質性膀胱炎の評価

間質性膀胱炎は、一般に0から10までの11段階に痛みの程度を問診することを基本とする(11段階数値化スケールNRS-11)。カルテに記載された痛みの程度の結果を抽出する。NRS-11だけを評価方法とする。頻度は、3か月おきにおこなっている。

ⅱ)随伴症状の評価

間質性膀胱炎の症状の他に、過活動膀胱があるものは過活動膀胱質問票、腹圧性尿失禁があるものは1時間パッドテストもしくは国際尿失禁スコアICIQ-SFがされている。過活動膀胱質問票は4つの項目(頻尿・夜間頻尿・尿意切迫感・切迫性尿失禁)で評価するアンケートである。1時間パツドテストとは、500mlの水を飲んだのちに、1時間の間に普通の生活での身体活動をして、その後尿取りパッドの中に残っている尿失禁量を計測するものである。ICIQ-SFとは、4つの項目からなる尿失禁のアンケートである。間質性膀胱炎ではNRS-11以外は、1時間パッドテスト・OABSS・ICIQ-SFは補足的評価であり、間質性膀胱炎全症例に評価があるわけではない。

ⅲ)VELの場合の経過観察

VELの場合は、一般的に3か月おきの通院を指導してる。このため、間質性膀胱炎の記録のスケジュールと一致している。よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニックでは、20名の間質性膀胱炎患者がVELを受けており、術前は1年間 NRS-11を記録したのちに、VELスタート後に1年間のNRS-11を実施している。

 

①研究のデザイン

観察研究 ⇒ 分析的研究

(横断研究、生態学的研究、症例対照研究、コホート研究)

□記述的研究 (ケースシリーズ研究、症例報告)

 

□介入研究 ⇒ □前後比較研究

□クロスオーバー試験

□比較臨床試験(準ランダム化比較試験)

□ランダム比較試験

②予定研究対象者数:   約700名   

③設定根拠: 必要症例数は過去のVEL論文が1~10症例であることから、10症例~30症例を設定した(効果量大、有意水準0.05。検出力95%で算出)

④統計解析の方法:分析にMann–Whitney U testとカイ二乗検定を用いる。

⑤□未承認医薬品・医療機器を用いる ⇒試験薬概要、試験機器概要を提出

□既承認医薬品・医療機器を用いる ⇒当該医薬品・医療機器の添付文書情報を含む

(2)研究期間:研究倫理審査委員会承認日~(西暦) 2021年3月31日

 

5.研究対象者の選定方針

(1)収集期間:2009年9月30日から2019年9月30日

(2)収集方法:過去腹圧性尿失禁として診療を行った患者を新しい順から連続抽出

(3)研究対象者:腹圧性尿失禁患者

詳細: VEL手術:10~30名(女性20歳代から60歳代)

 手術なし:10~30名(女性20歳代から60歳代)

 

 

6.研究の科学的合理性の根拠

本研究デザインは間質性膀胱炎が極めて少ない疾患であることから過去の論文は1~10例どまりである。3施設で、十分な規模の臨床研究と思われる。症例の選定にはカルテ情報を基に厳正に行う。統計分析は最新の統計処理ソフトを使用する。

 

7.インフォームド・コンセントを受ける手続き等(指針第5章第12に従うこと)

(1)□ インフォームド・コンセントを行う

インフォームド・コンセントを行わない

 

 

(2)□新たに試料・情報を取得して研究を実施

侵襲を伴う研究

□侵襲を伴わない研究:(介入を行う研究 ・ 介入を行わない研究)

人体取得の試料を用いる

□人体取得の試料を用いない:(アンケート ・インタービュー ・観察等)

□要配慮個人情報 (含む ・ 含まない)

自らの研究機関において保有している既存試料・情報を用いて研究

他の研究機関に既存資料・情報を提供しようとする場合

(倫理指針ガイドラインに従い、記録を作成する)

上記の手続きに基づく既存試料・情報の提供を受けて研究を実施しようとする場合

(倫理指針ガイドラインに従い、記録を作成する)

 

8.個人情報等の取扱い

症例に必要な個人情報は年齢、性別、既往歴、現病歴であり、必要情報を抽出した症例は直ちにカルテ番号、患者氏名を削除し、尿失禁評価・性機能評価および手術あり/なしとの対応表を作成する。手術記録のみから患者の特定は困難である。データはすべて鍵がかかるハードディスクに保管する。ウイルス感染にも最新の専用ソフトで細心の注意を払うこととする。

患者情報の管理は研究代表者(奥井)が行うこととし、PCやハードディスクが置かれている部屋は常に施錠し、盗難にも気を付ける。

匿名化 (対応表: 有 ・ 無 )

□匿名加工情報 (方法:             

□非識別加工情報(方法:             

□共同研究機関:共同利用する個人情報の項目

 

9.研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益、これらの総合的評価並びに当該負担及びリスクを最小化する対策、安全への配慮

(1)負担:診断や治療上、必要となった過去の診療データのみを使用するため研究にかかる負担はない。

(2)リスク:患者健康に影響を及ぼすようなリスクは発生しないが、患者データを用いるため、個人情報の漏洩の可能性がある。

(3)利 益:日本では腹圧性尿失禁に対する手術後の性機能の実態調査がまったくないため、治療法の確立にも貢献できる可能性がある。

(4)総合的評価:研究対象者に研究のために発生する負担やリスクはほとんどなく、医療の進歩に寄与できる研究であると考えられる。

(5)当該負担及びリスクを最小化する対策:個人情報の扱いに注意を払う。

 

10.試料・情報(研究に用いられる情報に係る資料を含む)の保管および廃棄の方法

新たに試料を取得 / 過去の試料を使用

(1)試料の種類:抜去歯、血液、組織、細胞、X線、CT、カルテ、アンケート、他(   )

(2)保管方法: 鍵でロックされた外付けのハードディスクに保存する。ハードディスクは施錠できる部屋に保管し、基本的にインターネット接続がない状態で使用する。ウイルス感染による漏洩が生じないよう、最新のウイルス感染対策ソフトで毎日、チェックを実施する。

(3)保管期間:

論文等の発表から5年間

□研究全体の終了日から5年を経過した日又は該当研究結果の最終の公表について報告され

た日から5年を経過した日のいずれか遅い日までの期間

※介入研究・侵襲有(軽微な侵襲を除く)の場合

□その他(具体的に:                  )

(4)廃棄方法: PC上でウイルス感染対策ソフトにより復元不可能な削除を行う。

 

11.研究機関の長への報告内容及び方法

研究倫理委員会が定める様式7により、年度末に研究の進捗状況等を報告する。

 

12.研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反(COI)及び個人の収益等、研究者等の研究

に係る利益相反に関する状況

(1)資金源

 講座(分野)研究費    科学研究費補助金

 企業(企業名:  )   □産学連携資金(   )  □その他(        )

(2)利益相反(COI)

利益相反(COI)委員会申請中

利益相反(COI)委員会承認済み

該当なし

 

13.研究に関する情報公開の方法

公表する:内容 研究成果を匿名化して学会講演、学術誌、論文等で発表する。

□公表しない:理由   

本人、家族(遺族含)への開示:(原則開示 ・希望開示 ・原則開示しない)

 

14.研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応

□相談窓口を設ける:    

相談窓口を設けない: 研究責任者及び担当者が診療室あるいは電話等で随時対応する。

 

15.代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合の手続き

該当しない ⇒ 理由:  代諾者を必要とする患者を含まない。   

該当する:(未成年者、家族、親族、遺族、同居者、後見人、保佐人、介護者、施設長等)

 

16.インフォームド・アセントを得る場合の手続き

該当しない

該当する(未成年者、判断できない障害者、認知症患者、他  )

 

17.研究対象者に緊急かつ明白な生命の危機が生じている状況における研究を実施する場合

倫理指針第12の6の規定に掲げる要件のすべてを満たしていることについて判断する方法

該当する   判断する方法:        

該当しない

 

18.研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合、その旨及びその内容

(1)費用負担 

有 内容:     

(2)謝    礼 

有 内容:     

 

19.侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴う研究の場合、その旨及びその内容

該当しない

該当する:内容    

 

20.侵襲を伴う研究の場合、当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容

該当しない:内容             

該当する:内容      

 

21.通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合、研究対象者への研究実施後における医療の

提供に関する対応

該当しない

該当する :対応     

 

22.研究の実施に伴い、研究対象者の健康、子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見

が得られる可能性がある場合、研究対象者に係る研究結果(偶発的所見を含む)の取扱い

該当しない

該当する: □伝えない

□本人に伝える⇒    

23.研究に関する業務の一部を委託する場合、当該業務内容及び委託先の監督方法

該当しない

該当する 内容:     

 

24.研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定さ

れない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合、その

旨と同意を受ける時点において想定される内容

該当しない

該当する 内容:間質英膀胱炎のアンケートによるデータは臨床研究行う可能性があるため、将来、類似した研究にデータを利用する可能性がある点について説明する

 

25.倫理指針第21の規定によるモニタリング及び監査を実施する場合、その実施体制及び実施手順

該当しない (現在の時点では実施しない)

該当する 内容:    

 

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